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「自動化ツールの仮装装置制御のためのGestaltフレームワーク」を読む §6. 道具が果たす2つの目的

コルヌコピアはインピーダンス整合装置なのか 本題からちょっと逸れてしまって申し訳ないが、もう少しコルヌコピア(富を作り出す装置)の話を続けさせてほしい。

コルヌコピアというものはインピーダンス整合装置としての道具という観点から見ると非常に限定されたものには違いない。なぜならば、インピーダンス整合装置としての道具というものは、それそこ手動の道具から電動工具まで広い範囲の装置を指すのに対して、コルヌコピアは「富を作り出す」という目的ありきで開発されるものだからだ。 けれども、「富」などという曖昧なものを目的にしている以上、「富」の素材、形状は1つに限定されるものではない。もちろん、コルヌコピアという概念を最初に達成する装置ないし装置は、素材や産み出すモノに制約が付くに違いない。しかし、それはコルヌコピアたり得る形状の1つにしか過ぎない。コルヌコピアは概念的には広範にわたるものなのだ。 そして、もうひとつ重要なのは、人々がコルヌコピアを使うのを楽しむことだ。僕は、コルヌコピアがベーシックインカムを代替しうる概念だと思ってあるけれども、それは人々がコルヌコピアを積極的に使ってくれることが大前提となる。もちろん、富を生み出す機械を使うのだから、ワクワクしないはずはない。でも、使うのが苦痛で仕方がないのであれば、使わない方がマシなのだ。例えば一日中苦痛に耐えつつ使用した結果、やっと暮らせるだけの富を得ることができるという状況であるのであれば、それはコルヌコピアとは言い難い。その程度のものであれば、わざわざコルヌコピアなどという大袈裟な概念を持ち出す必要もないのだ。そういう意味でもコルヌコピアに楽しさの概念は必要なのだと思う。 インピーダンス整合装置としての道具が果たす2つの役割 (以下引用) インピーダンス整合装置としての道具は2つの目的を果たす。 1つ目の目的は、より広範囲の素材を使用することができるようにするとともに、多様な形状の加工を可能とすることだ。これは、変速機なしの自転車から変速機付きのツーリングバイクに乗り替えたときに似ている。今や、以前は登ることのできなかった急な坂道を登ることができるようになるのだ。それによって、僕たちがプログラムすることができるオブジェクトの形と材料を記述する言語を拡張することができる。 ツールの第2の目的は、何かを可能にすることではなく、それを楽しいものにすることだ。これは緩やかな傾斜の丘を駈け下るのにちょうどいいギアを持っているのと似ている。ツールによって僕達は機械的な力と知力の出力を最大限にして操作することが可能となり、それを成し遂げることができるのだ。まとめると、ツールはオブジェクトをプログラミングするための言語を拡張し、プログラミングをより効率的で楽しいものにするということができるということだ。 ハンマーのようなハンドツールは、その操作に必要なエネルギーのすべてをユーザーから引き出す受動的な道具だ。したがって、それらの役割は、機械的な力と知的な流れの両方の変換器としての役割を果たす。しかし、多くの場合、これらの役割は互いに相反する。ハンマーの重さはハンマーが私達と釘の間の物理的なインピーダンスを合わせることを可能にする重要な特性だ。ハンマーが軽すぎると、ハンマーに与えることができるよりも多くのエネルギーを腕を推進するのに使うかもしれない。逆に、あまりにも重いハンマーで、我々はそれを全く持ち上げることができない。同時にハンマーの重さも、操作できる速度を制限する要因として作用し、それによって頭で思い描いている意図(例えば2枚の木片を締め付ける)から現実に可能な速度を制限する。 電動ハンドツールは、機械的および知的なインピーダンスマッチングの役割を切り離そうとしている。 空気圧ネイルガン(釘打ち機)は、圧縮空気に蓄えられたエネルギーを使用して駆動力を印加し、ユーザが釘を見つけるという作業よりも脳みそを使った活動に集中することを可能にする。 手動工作機械(大雑把に言うと、動力付きの「手」工具のことを指している)は、金属を用いた作業を行うためのより大きな剛性、および作業に対して工具を正確に位置決めする手段を提供する。 どちらの例でも、すぐに目が手より速く動くことがわかった。 仕事の機械的負荷の多くから切り離されていても、今や私たちの手の中にある道具ではなく私たちの体が、私たちの脳とその欲望の間の主要な障害となっているのだ。 つづく 引用:自動化ツールの仮装装置制御のためのゲジュタルトフレームワーク(Ilan Moyer)

目次はこちらから→【和訳版】FabAcademy 2016

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