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幽霊はダイエットをするか

ahedgehogchase

◉質点について

 それは幽霊みたいなものかもしれない。それは、体積というものを持たないからだ。でも、幽霊と違うのは、それが質量を持つということだ。しかも力を加えると動かすこともできる。ただし、それをコロコロと回すことはできない。体積がない点を、コロコロ回すのは至難の技だ。仮にコロコロと回せても僕らは本当にそうなのか見分けがつかない。今日はそんな奇妙なものについて語ろうと思う。

 それの名は質点という。僕たちが、世界を理解しやすくするために作られた概念だ。質点の良いところは、回転しないという点で、これにより僕たちは質点の並進運動のみに注目すれば良くなった。回転運動は考えなくて良いのだ。

(2017/2/15 追記:円運動はできるので注意。質点自体が自転しないという意味なので誤解しないでほしい)

 そんな机上の空論のような考え方で本当に良いのか。と思われるかもしれない。もちろん、その主張には一理ある。この世に存在するモノはたいてい回転するからだ。並進運動のみを考えれば良いケースなんて、例外みたいなものだ。でも、並進運動の動きが分からなければ、並進運動と回転運動の組み合わせの運動は理解できない。だから、世界を単純な状態に分解していくことは、この世界を理解するためには重要な考え方なのだ。

 とは言え、質点のような動きをする物体が存在しないというわけではない。ある物体の重心が分かっている場合には、重心を通る線上に力をかけてやれば、その物体は回転せずに動くことができるだろう。というより、質点を考えたモデルというのは、物体の重心に力を加える状態を再現したモデルなのだ。

 だから、一見ものすごく奇妙なものに見えるが、これは世界を理解するための虫眼鏡みたいなものだ。こんな不思議な道具の助けを借りて、僕たちは世界の謎を知る旅に出ることができる。

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