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理想からの乖離。それを知ることは理想に近づくことだ②

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◉タグチメソッド②

 今まで品質について取り上げたことがあるが、色々と道具がありすぎて、何を使えば良いのか分からなくなってしまうかもしれない。選択肢が多いと、何をして良いのか分からなくなってしまうことはよくあることだ。

 でも、これだけ異なるツールが考案されているのにはもちろん理由があるからだ。今回はタグチメソッドとQC七つ道具の使い方の違いについて語ろうと思う。

 単刀直入に言おう。このふたつの違いは使用する場面の違いにある。QC七つ道具などの製品管理手法は主に、生産工程で不良を検知し、その原因を追求するためのツールだ。それに対して、タグチメソッドは設計時に製品ばらつきや使用環境の不確定要素に対して、ばらつきを抑える条件を見出すことで、高品質の製品を設計するためのツールだ。

 それだけではない。製品管理手法がターゲットとしているのは工程品質の向上であるのに対して、タグチメソッドでは市場品質の向上をターゲットとしている。工程品質は、検査等により異常がないかどうかを検知して、不良品が出荷されないようにするための関門となる。タグチメソッドでは市場に出荷された後に品質不良を起こさないための防御策なのだ。タグチメソッドは品質の管理というより、高品質の製品を生み出すための技術の管理ツールとも言えるだろう。

 こういう風に書くと、品質管理手法とタグチメソッドは補完的な関係にあり、どちらかが欠けてもいけないということが分かるだろう。この2つの異なる手法を組み合わせて製品品質を向上させるのとを、Total Quality Management(TQM)という。色々なツールの組み合わせが、品質の向上を強力に後押ししてくれるのだ。

 僕たちは、海図もなく羅針盤にしたがって旅を進めなけれならない。この時代は不確定要素に満ちていて、行き先は見通せないからだ。でも、どこを目指そうとも、僕たち旅人の身を守るためにできることはたくさんある。その防御策のひとつとしてTQMがあるのだ。これを使いこなしながら旅を続けよう。

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