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理想からの乖離。それを知ることは理想に近づくことだ⑤

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タグチメソッド⑤

 以前、TQMに触れたが、従来のQC型の問題解決法とタグチメソッドは両方揃ったときに、効果を最大限に発揮できる。鬼に金棒という言葉があるが、品質向上のために、この2つの道具が揃ったときを表すのに丁度いい言葉だ。

 この2つの違いについては、用途が違うということを以前も話したが、もう少し具体的に見ていこう。

 QC型の問題解決法では、製品の設計条件は一定だ。これは、もうすでに設計されている製品に対するものだからだ。それに対して、タグチメソッドでは、設計自体が解析対象になる。設計時に色々と試して品質向上に最適な形状に作り込んでいくのだ。

 では、QC型の問題解決法が解析対象とするものは何だろうか。それは、ばらつきの要因だ。何が工程でのばらつきを生じさせる要因なのかを突き止めて、それに対処することで問題解決を図る。しかし、タグチメソッドでは、ばらつきは一定のものとして捉える。ばらつきを抑える方策を講じてもあまり意味がない。なぜなら、ばらつきの要因は使用環境にあるこらだ。これは僕たちが直接手を出せる範疇の問題ではない。だから、そこはそっと見守るしかない。

 データの扱い方もちがう。QC型の問題解決法では標準偏差δを用いてばらつきを評価する。そして、これが基準範囲に収まるように、工程の改良を加える。だが、タグチメソッドで扱う量はS/N比だ。この値ができるだけ大きくなるように設計条件を変えていく。

 これらの違いを認識できれば、タグチメソッドを、どのようにして進めていけば良いかがよく理解できるようになるだろう。次回はそれについて話したい。

(つづく)

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